NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信98号(2018年5月号)

                                                         年度始めにあたって

                          理事長 金 治 憲 

 

 爽やかな五月晴れが続いています。皆さま、いかがお過ごしでしょうか、

いつもICAをご支援いただき、心より感謝申し上げます。

 昨年度は、活動の柱と考えていた二つ課題をいずれも中止することとなりました。残念なご報告となり、私の見通しの甘さに起因するものと皆さまには大変申訳なく思っています。

 ひとつはKISEとの共同で進めていた あん摩指導者養成事業を中止したことです。この事情については『あいか通信94号』で事実関係をご報告したとおりです。

この後、ケニアに行けていないので、とりあえずセラピストたちの一人には電話で話して皆に伝えてくれるよう頼みました、また、KISEに関してお世話になった方々にも直接話はできていないという状況です。

 もうひとつは長い間の懸案であったナイロビの治療院開設の件です。

 2017年3月の訪問時に滞在日程も終わり近くになって、これまでもずいぶんとお世話になって来たピーター・キム氏宅の一室を治療院として借りられることが決まり、その後の開設準備をピーター・キム氏はじめ、現地のヴォランティアを頼み、5月20日に開業しました。そして、大変ありがたいことに、ピーター・キム氏が部屋を貸すだけでなく運営も手伝うと申し出てくれたのです。しかしこれとほぼ同時に彼の病気が進行していたことが分かり、彼は治療のため韓国へ帰国することとなりました。その後何度かの入院、手術を繰り返し、今年5月3日、退院したとのこと。現在実家で療養中です。今は彼が少しでも早く回復できるよう祈るばかりです。

 これは治療院の運営には大打撃で、一時はどうなる事かと思いましたが、彼の後を引き継いで韓国からやってきたJaeyoug さんが新しい家主となり、治療院の運営もやることになりました。以後の状況は、ともさん(塚原朋子さん)に詳細な報告をいただく度に皆さまには『あいか通信』でご報告してきたとおりです。

 引き継いだとはいえ、Jaeyougさんにとっては初めてのケニアでいきなり治療院の運営、しかもセラピストは初めて身近に接する視覚障害のある人々ばかりとあってはさぞ大変だっただろうと想像できます。

 さらに、昨年のケニアは8月から11月に至る大統領選挙をめぐる政治的混乱が続きました。前回の大統領選挙に比べればずっと静かだったということでしたが、外国人は早々に帰国し、そのままクリスマス休暇に繋がってしまって外国人クライアントがいない、という悪条件も重なりました。         

そんな状況の中でJaeyoug さんの相談相手となって一緒に治療院を支えてくれた、ともさんの存在はほんとにありがたかったです。彼女なくしてはどうなっていたことかと考えます。

 このような状況下で、しかも1年足らずの開業期間について、何らかの評価を下すことはできないとも考えますが、残念ながら資金不足と、運営に携わる人材を見つけるのは難しい、ということで、この3月で中止せざるを得ませんでした。

 当初の計画としては、家賃の支援額を減らしていきながらでも2・3年は治療院を続けて様子を見るつもりでいました。その期間にセラピストたちに治療院経営の実際や、団体として組織を維持し動かしていくことなど学んでほしいとも考えていました。セラピストたちには、スタート時に家賃の援助は今年3月まで、と伝えてはいましたが。先立つ資金不足で、見通しが甘かったと言うほかありません。

 ピーター・キム氏の後、家主となったJaeyongさんは、そのまま治療院を継続したいということで、ともさんの協力もあり、今も治療院は続けられています。セラピストたちのことを思うと、ちょっとホッとします。

 今年度の活動として、『あいか通信94号』に記載しましたように、第2プロジェクト終了後7年が経過したところで、第3プロジェクトとして、『実務経験のあるセラピストのためのあん摩講習』を実施したいと思います。

 実務経験を持って集まるからには、一方的な講習ではなく、彼らの経験をじゅうぶんに生かしたものにしたいと考えています。ただしJICAの委託を受けられれば、ということではありますが、とにかく講習の実現に向けて努力してまいります。

 今年もこの季節、皆さまに、ご寄付の振替用紙をおおくりさせていただきました。お一人でも多くの方にご協力いただけますようよろしくお願い申しあげます。

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          ケニアで働く指圧・あん摩師たちの現状

                               石島祐太

過去に指圧・あん摩のトレーニングを受けたことのある指圧・あん摩師たちに会うことで、少しずつ現状が見えてきました。ざっくり言ってしまうと彼らは、以下のような4つにグループ分けができました。グループごとの状況説明と、カッコ書きでこの2年間で彼らに対しどんな支援ができると考えたかを書きます。

・自分で宣伝をし顧客を確保できる、もしくは口コミで顧客作りができている人たち

(彼ら自身はもう支援を受け続ける必要がないが、今後は彼らに視覚障がい者たちの目標になってほしいと考え、この2年でさらなる事業展開ができるようにと技術支援や事業に関してのアドバイスをしていきたいと感じた。)

 ・ある程度の顧客を持ちある程度の宣伝活動もできているが、技術や宣伝方法をまだまだ改善する必要がある人たちで、モチベーションが高い人たち

(このグループの人たちにはぜひ①グループまで成長してほしいと思い、技術指導や事業展開のアドバイスを積極的にしていこうと思った。)

 ・ある程度の顧客を持ちある程度の宣伝活動もできているが、技術や宣伝方法をまだまだ改善する必要がある人たちで、モチベーションが低い人たち

(主に彼らの意識へのアプローチを行う必要があると感じた。自分で事業を展開していく前向きな意識を待たなければいつまでたっても日本人からの援助待ちをしてしまうため。)

 ・顧客が少なく、モチベーションが低い人たち

(同じく意識への働きかけをしようと思ったが、このグループへの支援は大変難しそうに感じた。)

 

また、指圧・あん摩師訪問をすることで見えてきた、ナイロビや地方都市等での彼らの働き方もお伝えします。カッコの中にどれくらいの指圧・あん摩師達がそのやり方で働いているかと、その働き方のメリットとデメリットを書きます。

 

〇顧客宅へ出張をし指圧・あん摩を行う。

(大多数の指圧・あん摩師。メリット:店舗を構えることと比べると家賃等の経費が発生せず、交通費以外の売り上げは全て自分のものになる。)

〇雇用関係にはなってはないがマッサージスパやゴルフクラブ等で指圧・あん摩を行い、場所を提供している組織と売り上げを共有する形で、お客が払う金額の5割以上をもらって働く。

(2割の指圧・あん摩師。メリット:雇用関係でなく歩合制なので場所を貸す企業側にとってはクライアントがいなくても損をせず、流行らなくても続けて働く場所の提供をしてくれる。デメリット:指圧・あん摩師にとってはクライアントをとれないと交通費分赤字になる。売り上げの一部は施設に渡さなければならない。)

〇自分で家賃を払い部屋を借り、開業する

(1割の指圧・あん摩師。メリット:出張と違い移動時間がいらない。デメリット:家賃を払わなければならない。)

〇協力者(支援者的な存在)から無料で部屋を借りたり、家賃を払わなくていい公的施設の一角を借り指圧・あん摩をする。

(1~2割の指圧・あん摩師。メリット:家賃がいらない。デメリット:協力者が場所提供の支援をやめてしまうと仕事を続けられない。)

〇自宅で指圧をする。

(地方都市に1人。メリット:家賃がいらない。デメリット:自宅が田舎だと集客が難しい。)

医療機関に雇用され指圧・あん摩をする。

(地方小都市に1人。メリット:定額の給料がもらえる。デメリット:指圧・あん摩師を雇用しても医療機関側に利益が増えないと雇用関係は続かない可能性がある。雇用関係なのでいくらクライアントが多くなっても給料は定額。)

 

 20名ほどの指圧・あん摩師の状況を確認しましたが、ほとんどの指圧・あん摩師は首都のナイロビか地方都市といったようなで大きな街で、ある程度所得を持っている人たちをお客にして働いていました。

 指圧・あん摩師の中でもモチベーションの高い人と低い人がいたのですが、何が違うかというと、彼ら自身が仕事を増やしたいと思ったときに、モチベーションの高い人は技術を磨いたり新しいクライアントを得ようと広報のための行動に出ますが、モチベーションの低い人は仕事がない理由を人のせいにしたり環境や状況のせいにしたりで自分で解決しようとは思っていないようでした。そのため、私の配属先であるシクリ学校での自分の生徒には、生徒たち自身で職場を開拓し、顧客を作れるようになるための訓練を授業の中に取り込もうと作戦を立てました。

 具体的にいうと、指圧・あん摩技術を教えることはもちろんですがそれに加え、自己反省や自己成長欲の大切さを伝えたりコミュニケーション能力を育て上げたり、また礼儀作法を教えたりすることで、生徒たちにどんな環境でも働ける能力を身につけさせ、彼ら自身で仕事を作りあげる力を持たせたいと考えました。このような個人の資質が備わっていれば、例え働く場所の提供者がいなくとも、マッサージスパやゴルフクラブとの交渉がまとまらなくとも最低限、出張や自宅での仕事ができると思ったからです。

                             (つづく)

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            平成28年度 活動計算書

                  平成28年4月1日から平成29年3月31日まで

 

 科目                  金額(単位:円) 

 I

経常収入の部

1.会費収入

2.事業費収入

3.寄付金収入

4.雑収入

 

          90,000

           0

         644,250

            6,120          

 

経常収入合計

          740,370

 II

経常支出の部

1.事業費

2.管理費

 

         925 ,170

        556,655

 

経常支出合計

        1,481,825

 

経常収支差額

        -741,455

III

その他資金収入の部

                0

VI

その他資金支出の部

                0

 

当期収支差額

        -741,455 

 

前期繰越収支差額

        1,179,067

 

次期繰越収支差額

          437,612

                            

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             事務局からお知らせ

 

『あいか通信』は今まで、隔月刊(年6回)でお届けしてきましたが、今年度より季刊(年4回)でお届けすることにいたしました。

どうぞよろしくお願いいたします。