NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信94号 2017年9月号

           KISE とのあん摩指導者養成事業を中止

 

                             金 治 憲 

 朝夕、ずいぶん涼しくなりました。いつまでもうるさく聞こえていた蝉の声も、いつしか虫の音に。少々寂しくも感じられるこの頃です。

皆さま、お変わりなくお過ごしでしょうか。       

 KISEとの事業を再考するにあたっては前号の会報で事実関係のみをご報告しましたが、ここで中止を決断するに至ったことを皆さまにご報告しなければなりません。本当に残念です。

 そもそもこの事業をKISEとやろうと考えたのは、KISEの副所長マーガレットさんとの出会いからでした。事業の意義を理解し、自分なりのアイデアも持ち、これから、という時にノルウェーに3年間行かれることになり不在となりました。その後の経過をたどると、事が滞ったのは常にお金の問題でした。それでは、予算が潤沢であればこうはならなかったのか、と言えば決してそうではありません。

 いずれにしても、この事業では、皆さまのご支援はもとより、ICAの講師をお願いしていた窪田先生、宇和野先生にはカリキュラムや教案作成など、またその翻訳をお願いした小鴨巡水さん、KISEとの話合いにも同行していただいたピーター・キムさん、元韓国大使のゴビさん、土方明夫さん、励ましてくださったサヤ先生、教育省のアチャーさん、他いろんな方々に、様々なかたちでご協力いただきました。ほんとにありがたかったです。

 今ではセラピストとなった受講生たちもKISEのサーティフィケイトコース開講には意欲的だっただけに、どんなにがっかりするだろうと思うと気が重くなります。セラピストを経験してきた彼らにとっては、今迄の技術を復習し、見直す大事なチャンスでした。

 そこで、このKISEとのプロジェクトは中止することにはしましたが、この間の副産物も活かし、先生方と相談の結果、新しいプロジェクトとして、以下のような講習を目指すことにしました。

今までに、

第1次:2004年~ 基礎あん摩(全身あん摩)

第2次:2009年~ 応用あん摩 理論と技術  を実施しました。

新たに 第3次として 日本あん摩スキルアップ講座 

1・日本あん摩について一定の実務経験のあるセラピストに対し、これまで学んだ基本と応用を踏まえつつ、さらに高い技術を身につける。

2・これまで、あん摩を実践する中で見えてきた課題の解決に繋がる知識や技術を身につける。

3・あん摩の底流にある東洋医学の健康観や、いわゆるツボを用いたあん摩の技術を身につける。 

を、考えています。

 ただし、実施にはやはりJICAの支援が必要です。草の根技術協力支援型に応募するしかありません。3回目の応募迄認められるようになったとはいえ、公平を期すため1回目、2回目応募の方が優先されるので

 3回目で採用されるのは厳しいです、と言われていますが、チャンスは与えられているのですから、とにかく出来るだけのことはやってみたいと思います。

  1回目、2回目の講習プロジェクトで現地のカウンターパートとして、協力してくれていたSOKのゲノさんも、3回目になる新たなプロジェクトで、またカウンターパートをつとめてくれることになりました。

新しいスタートです。

 

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                治療院のその後

 治療院開設から4カ月が過ぎました。 時々、 治療院の運営ボランティア‘とも’(と皆によばれていますが、彼らは塚原朋子さんという名前を知っているのでしょうかねえ?)さんに電話で運営状況や選挙後の

ナイロビ市内の様子など尋ねています。7月の段階では、

 「治療院のお客さんは少ない・・・ですね。だけどオープンした当時に比べると少し増えているかな、という状況です。」

 「デモは頻繁にやってますが、まあ静かだと思います。Chaeyongさんは、さすがに怖がって外に出ませんけど。」

とのこと。この状況は9月現在も変っていないようです。

 ともさんが、先日、5月20日のオープンから8月末迄の、日々の詳細な記録を送ってくださいました。眺めるほどに貴重な記録です。ともさんには、心から感謝申し上げます。

 記録と睨めっこしていても、治療院が、この先上手くいきそうなのかそうでないのか、全くわかりません。

 記録によると、1ヶ月に26日開いていますが、6・7・8月の各月のクライアント数は16~19人。まず特徴的なのは、クライアントの、少なくても60%の人が日本人と韓国人だということです。やはり、あん摩を知っている人たちです。現地のアジア人以外の人々には認知度が低いということでしょうか。そのためにもASAAVIKは、治療院があるラヴィントンの大きなショッピングモールで、大統領選挙後にあん摩デモンストレーションをやりたいといっていましたが、まだできないでいます。

 次に気付いたのは、クライアントの約40%がリピーターだということです。これには、いくらか希望を持ってもいいような気がしますが、キム理事長の経験では、3年くらいの間に、クライアントの80~90%の人がリピーターとなってくるようにならなければ、経営が安定してきたとはいえないだろう、とのこと。そうなるためには、まだまだ出来ること、やるべきことが、たくさんありそうです。

 ご存知のように、ケニアでは8月8日に大統領選挙が行われました。今回は、心配されたような、2007年の大統領選挙のように千人を超える死者が出るような状況には至らなかったのですが、それでも24人の死者が出たと報道されました。選挙では現職のケニヤッタ大統領が再選されましたが、野党連合候補のオディンガ氏が、選挙に不正があったとして、最高裁に異議を申し立て、選挙結果は無効であるとの決定が下されました。その結果10月17日に再選挙が実施されるとのことです。

 1日も早くこの混乱が収束し、なによりケニアの人々が平穏に生活できるようになることがASAAVIKの活動にとって必要最低条件です。

                        (事務局 森山)

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            ASAAVIK の フェイスブックから

 

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     「日本から‘てっちゃん’をむかえて素晴らしいひと時をすごしました」

    

 前号で、初めてフェイスブックの記事をご紹介しましたが紙面の関係でフェイスブックそのものについての 説明を端折ってしまいました。大変失礼しました。

 これは、ともさんが、ASAAVIKの宣伝のためにインターネット上に立上げてくださったページです。

あん摩・指圧の紹介、セラピスト達のプロフィール、ASAAVIKが参加したイヴェント、治療院の様子、クライアントに取材したものなど、写真や動画で紹介しています。

 

「ASAAVIKは、日本からスペシャルゲストを迎えました。‘てっちゃん’はギタリスト、あん摩指圧セラピスト、そして視覚障害者です。私達は彼らの演奏を楽しみ、あん摩について、あれこれ語り合いました。才能に恵まれた多くのセラピストがいますね」

 

‘てっちゃん’と‘しんちゃん’はギターと三味線でテクニカルフィンガーズという名のバンドを組み、札幌を拠点に活躍されています。ある団体のミッションでケニアに来られた折、視覚障害者達がセラピストとして働いている、日本あん摩の治療院があると知って訪問されたそうです。この記事にはお二人の演奏動画があるのですが、お聴かせできなくて残念です。