NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信87号(2016年7月号)

         いよいよ、本格的な夏が始まります        

 

                           理事長 金 治 憲

 

          皆さま、お元気でお過ごしでしょうか

 関東地方でも間もなく梅雨明け宣言が出されるでしょう。近年の猛暑が、歳を重ねる毎に辛くなり、夏本番となると思わず身構えてしまいますね。体調管理をしっかりやりましょう。

 前号でご寄付をお願いしましたところ、熊本地震の影響で未だに元の生活に戻れないでいる友人から、いち早く寄付が送られてきました。

 こちらが支援すべき立場だというのに…と痛み入りました。そして、相変わらず厳しくなっていく一方の生活状況の中での皆さまからのご寄付、さらにICA の支援者状況を申しますと、ほとんどの方が年金生活者なのです。それにもかかわらず、暖かいご支援をいただき、心より感謝申し上げます。

 昨年度は、ICAの大きな二つの目標、ケニア人のあん摩指導者養成と治療院開設、いずれも進展を見ることはできず、今年こそは、とにかく一歩でも前進させたい、と重い空気の中、6月にケニアを訪問しました。

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            KISEとの話合いに、思わぬ展開

 

 今回、友人が、韓国大使を5年間務められたというNgoviさん(ゴビさん)という方を紹介してくれました。KISEとの交渉に何かしら力をかしてくれるのではないかというのです。

 到着以来、受講生は別として、友人たちに紹介された人を訪問したり、逆に、訪問を受けたりで、いくらかでも成果につながるものはあるのか、と少々疲れを感じていた滞在半ばに、会うことになりました。

 ICAの事業の目標やKISEとの話合いの現況など話すと、その場で、分かりました手伝いましょう、と快く引き受けてくれました。

 そして自らKISEと連絡を取り合い、私たちのケニア出発前日にKISEとの会議を設定してくれました。ご自分も交えて話し合うことになったとのことです。

 当日、KISEでは視覚障害部門担当の副所長はじめ教員全員との会議となりました。膠着状態の原因であったところの、KISE側が要求していた諸会議の費用について、ゴビさんは、これは教育省で予算化するものであって、海外の団体に要求すべきものではない、と明確に意見を述べられました。膨大な諸会議の予算書を送ってきた担当者は、それでも施設設備にはお金がかかるものだと主張しましたが、私があん摩の技術指導には特別な施設設備は要らない、必要なベッド、テキストなどはICAで負担すること等、説明するといともあっさりと納得???

 「それでは早く短期コースを始めましょう」と言うのです。なんとも呆気ない展開で一瞬気が抜けてしまいました。

 しかし、そんなことは言っていられません。急展開でボールがこちらに回ってきたわけです。今度はこちらが投げ返す番です。今までの会議で、まだ詰め切れていない細かい重要な部分もあります。他にも準備すべきことがたくさんあります。点字テキストの作成、今迄の講習と違って長期に亘る講師や通訳の確保、さらに重要な資金の確保などなど。

 資金確保に当たっては、事務局では勿論、あらゆる努力をするつもりですが、あらためて皆さまにもご寄付をお願いしなければなりません。

厚かましいお願いで、心苦しい限りですが、その折には、またどうぞよろしくお願いいたします。                          

 この日の夕方には、ゴビさんのFace Book に、この写真と共に、ICAとKISEが会議を持ち、その結果、視覚障害者の自立を目指し,KISE であん摩技術のCertificate Course(短期コース)が 開講されることになった、という記事が掲載されていました。

 何から何までの素早い対応に感謝です。

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               ビトリスさんの災難

 

 ケニア訪問の際は事前にメールアドレスを持っている受講生たちには直接知らせますが、ASAAVIKを手伝ってくれているヘンリーさんにも皆への連絡を頼みます。到着後は一人一人へ直接電話で、会議のスケジュールを確認し、近況報告をしてもらいます。そして、アイン・ゲストハウスまで来られる人には来てもらって、あん摩をしてもらいます。

 そのなかで、ビトリスさんが1週間前に交通事故に遭った、という話を聞きました。驚いて直ぐに電話をしてみると、やっとのことで声を出しているという話ぶりで、何も食べられずにずっと横になっている、お腹が痛くて気持ちが悪い、ハリ治療をして欲しい、と言うのです。

 翌日、ヘンリーさんの案内、ピーター・キムさんの運転で、様子を見に行きました。ビトリスさんのアパートまで片道1時間ちょっとだったでしょうか、市の中心部から30分間くらいは舗装道路を走ったのですが、一旦幹線道路を折れると舗装はされておらず、しかも雨の後とあって道路の端と言わずあちこちに大小の穴ぼこがあり水溜りになっています。車は左右に大揺れ。車に弱い私は、早速酔いに悩まされました。そんな道を電話で確認しながら、あっちでもない、こっちでもないとウロウロ。やっとビトリスさんの手伝いに来てくれているという女性があかちゃんを抱いてアパートの前に立っているのを発見、部屋へ案内されました。

ビトリスさんは起き上るのも辛そうな状態でした。聞くと、車のサイドミラーに頭の片側を引っ掛けた、その時は外傷もなく自分でも大したことはないと思ったとのこと。ハリ治療の翌日、様子を聞くと、痛みが和らいでウガリと果物を少し食べられたとのこと。このまま食欲が出て来てしっかり食べられるようになれば回復するだろうと思ったものの、もう一度治療しておきたい、と思っていたところ、私たちがケニアを出発する前日の夜、近くに住む受講生仲間のエドナさんに付き添われて、アインまでタクシーでやって来ました。エドナさんは、私がハリを打つ場所をしっかり覚えて帰って、しばらくは自分がビトリスさんにやってあげようと思う、とのこと。心強い友達です。

 日本に戻って3週間後、ノーラさんに電話で聞くと、ビトリスさんは元気になっている、とのこと。良かったです。安心しました。

 しかし、考えてみると、ケニアであん摩講習を始めて12年目にして、初めて受講生のアパートを訪ねたということになります。

 JICAの委託で講習をしている時は、とにかく安全第一で昼夜を問わず移動は車で、スラムには行かないように、などの制限がありJICAとの関係が切れても、テロ事件の頻発で自主規制せざるを得ませんでした。 

 今回の事故で、今さらながら、受講生たちの移動事情、また住宅環境の悪さをも、一瞬、ですが体験出来たわけです。貴重な体験でした。

このことについては、また後日書きたいと思います。