NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信78号(2015年1月号)

           意志あるところに道はひらける

                                                 理事長 金治憲 

新年を迎えて早くも1ヶ月が過ぎようとしています。

遅ればせながら新年のご挨拶を申し上げます。本年が皆さまにとってより良い年となりますよう、心よりお祈りいたします。

 また、前号でお願いしました年末ご寄付には、相変わらず厳しい状況の中、ご協力いただき、本当にありがとうございました。感謝申し上げます。

 

 今回はケニアのナイロビからの報告です。

ナイロビは、ここ1・2・3月が一番気温の高い時期です。一年中気温の差があまりないナイロビでは四季はなく雨季と乾季です。今は乾季、焦げ付くような日差しの中で色とりどりにブーゲンビリアが咲き誇っています。

 昨年11月に予定していたケニア訪問は、テロや西アフリカに広がったエボラ出血熱のおかげで延期せざるを得ませんでした。今回、1月19日から2週間の訪問を決めるにあたっても、そんな不安が無くなったわけではなかったのですが、考えるに、今後の状況が今より良くなるとも思えず、ならば今のうちに、あん摩デモンストレーションは無理だとしても、難航中の治療院開設の件やKISEとの間で膠着状態のあん摩教員養成コース新設の件を少しでも見通しの持てるところまで進めておきたいと考え、訪問を決めました。

 

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            あんま治療院に新たな展開!?

 昨年、 SOK のゲノさんからメールが届きました。 本国ドイツのNPOからの運営費が減少してきてSOKの事務所を縮小せざるを得なくなり、あん摩治療室が確保できなくなったので治療室を閉じた、何らかの援助が欲しいとのこと。SOKの治療室を借りて治療していた何人かは、クライアントを失くし、新しいクライアントが見つかっても訪問治療でない限り治療できる場所が無くなった、ということです。ICAとしても、治療院開設への道を一歩でも進めたいと訪問の度に、現地での技術指導を引受けてくださるという方とこの問題について話合いをしてきましたが、治療院開設の目途が立たない限り、何かしらの援助を、と言われてもICAとしては出来ることがないのが現状です。

 そんな状況で受講生たちとの集まりを持ったわけですが、1回目は、お互いに仕事の状況を報告し合ううちに、当然のことながら、治療院が必要という話になっていきました。

 「クライアントが見つかっても、自分の住所を言って、ここに来てください、なんてことになったら住所を聞いただけで誰も来なくなってしまう」などと、かなり深刻なことを言っています。そのうちNCPWD (Nationail Council for

Persons with Disability)(障害者福祉のための国の外郭団体の一つ)のことが話題になりました。私たちも、4年前でしたか訪問したことがあります。

 彼らが言うにはNCPWDは、障害者のためとはいえ身体障害者のことばかりやっていて、視覚障害者のことは何一つやっていない、と。最終的には、   

「私たちの要求を直接持って行こう!」ということになりました。

 そして2度目の集まりの時には、ジェンガさんから、2週間後にNCPWDのトップメンバーと話ができることになった、さらにNCPWDの理事会メンバーの中にリディアさんがいる、との報告があり、その場の雰囲気が一挙に明るくなりました。

 リディアさんというのは、ICAが2004年、JICAの委託事業として第一プロジェクトを開始した時に、現地調整員として講習の間彼らと寝食をともにし、こまごまと生活上の世話をしてくれた、彼らには馴染みの女性です。それを聞いて、私もほんとにこれは希望がもてると思いました。楽観はできませんが、彼らの10年後にも立ち会ってもらうことができるとしたら、これは素晴らしいことです。

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 この雰囲気のなかで、続いたランチは大いに盛り上がりました。受講生の一人ノーラさんが皆のために、チャパティ、キャベツ・人参の煮物、豆の煮物をおかわりの分までもたっぷり作って来てくれたのです。チャパティの代わりにウガリとなると、これは代表的なケニアの日常食で、チャパティは、特別なご馳走だそうです。しかもかぼちゃが入った黄色い豪華版チャパティで、さすがに日常食とあって、飽きの来ないいい味でした。

 たくさんの量だったので、給仕をしてくれたゲストハウスのメイドさん達にも振舞うことができました。ノーラさんが作ってきたものだと言うと、見えない人が・・・と大変驚いていました。 彼らは、ごく当たり前に自分で料理をしています。

 

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           KISEとの話合い ―資金のこと―

 あん摩教員養成コース新設の件で、昨年、KISEから示された膨大な予算は、いくら減らすことはできるとは言われても金額だけの問題としてではなく、ICAとしては納得し難いものでした。KISEが本当にやりたいのであれば必要な資金を準備する努力を真剣にすべきです。KISEとの話合いを始めた時に、受講生の中から自分たちにも話合いに参加させて欲しいという意見があり、いずれかの段階で、と考えていましたが、今こそここで彼らの力を出してもらいたい、と、ナイロビ在住の受講生たちに集まってもらい、今迄のKISEとの話合いの結果についても話合いを持ちました。

 後日、KISEを訪問し、副所長のマーガレットさんの対応で話合いました。ここで再度、予算について、ICAとしては、財政的支援はできないこと、KISE側が国へ予算要求するなどの努力をして欲しい旨を伝えました。そして話合いの結果、KISEにもお金は無い、国から予算を引き出すのも大変難しい、しかしこの事業は大変有意義であり是非実現したいと思うので、まずKISEとしては、この事業についての提案書を作り、あちこちの団体へ向けて提出し、資金調達の努力をしていく、一方、ICAとしては、提案書作成にあたって、あん摩に関わる説明が必要な部分などについては、出来るだけ協力して、共に提案書を作成していく、提案書原案の作成はKISEのマーサさん、ジョシュアさん2名が担当する、ということを確認して終わりました。 

 どうにか膠着状態を脱することは出来ましたが、ポレポレ(ゆっくりゆっくり)の国ケニアで、資金調達活動がいったいどれ程のスピードで進むのかはわかりませんが、私が死ぬ前に、これはやり遂げなければと思っている、と言うとKISEのメンバーは大笑いしていましたが、高齢化が進んでいるICAの事務局、支援者の方々の現状を考えると、これは切実です。この事業に一番積極的にかかわってくれている副所長のマーガレットさんは51歳ということですが、今年3月から3年間のプロジェクトに参加するためノルウェーへ行くとのこと。そのファイトには驚き、また感心もしますが、ICAにとっては厳しい状況になると思わざるを得ません。後は、提案書作成担当の二人と密に関係を保ちながら進めて行かねば、と考えています。

 この結果を得て、再度受講生たちに集まってもらい、この事業を進めて行くためにどう関わるのが良いか、など話合いました。

 KISEが資金調達のために努力してくれることが確認できた今は、自立を果たした彼ら自身が、この事業は自立できる視覚障害者を社会に送りだすために大いに有効であるという生きた証拠として、提案書作成に協力できるはずです。そんな話の中で、今回の2度の集まりに参加し、受講生たちがあん摩セラピストとして立ち上げた団体ASAVIKの渉外に加わって、今後KISEとの対応を引き受けてくれたジェンガさん(前号で紹介しました)が、KISEの事業提案書作成担当となったマーサさんを知っていると言うのです。心強い話です。よく話し合って提案書作成の力になって欲しいものです。これは、彼らにとって、またASAVIKにとっても力をつける貴重なチャンスとなることでしょう。

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・1月19日~2月2日のケニア訪問のため、会報の発行が遅れました。お詫びいたします。

・掲載予定でした山平さんの ⑨ ボランティア活動 3-続 は紙面の都合上次号に掲載いたします。