NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信72号(2014年1月号)

             寒中お見舞い申し上げます

                            理事長 金治憲

寒い日が続いていますが、皆さまお元気でいらっしゃいますか。年が明けて早一ヵ月が過ぎようとしています。東京の三が日はとても穏やかでした。皆様のところでは如何だったでしょうか。今年が、皆さまとICAにとって、良い年でありますように願っています。

例年のように、昨年末『年末ご寄付』をお願いしましたところ多くの方々から、お心のこもったご寄付をお送りいただきました。深く感謝いたします。この皆さまからのご支援をエネルギー源として事業を前進させて参ります。

前回のケニア訪問時には、フォーローアップ講習のほかに、KISE(Kenya Institute of Special Education : ケニア特別支援学校教員養成所 )とあん摩教員養成の件で話合いを持つという、もう一つの大きな目的がありました。

話合い当日、ちょうどフィンランド大使の訪問を受けている、ということで所長に会うことはできませんでしたが、副所長のマーガレットさんはじめ、視覚障害部門担当のメンバーを中心に7名の方々のグループ(検討委員会?)が作られていました。

今回、ICAは、ケニアでのこれまでの活動、その最終段階として、ケニア人あん摩教員養成を目指していること、その事業のカウンターパートナーとしてKISEの協力を求めていることを文書で事前に送っていましたが、KISEの方でも、それに応えて協力 していきたいとの文書を用意してくれていました。

この間、具体的な話を進めていくうちに、最初からいきなり日本のように2年間のコースを始めるには無理があるので、まず可能な範囲で、短期のコースから始めてはどうだろう、との提案がありました。過渡的な措置として、手をかけられるところから、ともかく始めていかねば始まりません。まずはその方向で進めていくことで双方合意しました。

これからは、さらに具体的に、短期コースのためのカリキュラムや教科書の問題などの検討に入っていくことになります。今後の進行状況は、また順次お知らせしてタイと思います。

さて、講習日程を終えて、JICAケニア事務所を訪問しました。また、講習最終日には、MTIB(マチャコス視覚障害者技術訓練校)で2年間の任期を終えられた青年海外協力隊員の清水朋子さんが、忙しい中来てくれました。

この時点の話では、次期のMTIB講師がまだ決まっておらず、このままの状況ではMTIBとしては、あん摩指圧コースを、とりあえず休講とせざるを得ないだろうということでした。以前にも、JICAから派遣された1代目隊員の五味哲也さんの後任が見つからず、次の1年間、休講になったことがありました。ほんと に残念です。清水さんの話では、MTIBの校長が、何とか休講せずにすむようにと努力されているとのことでした。現在、MTIBは休みの時期です。

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           受講生たちの今  ― アンジェリン・アカイ ―

 

昨年で、ICAがケニアであん摩講習を始めて10年が経過しました。

皆さまからの支援を受けて受講生たちも十年間頑張ってきたということです。彼らの今を、これから少しずつ紹介していきたいと思います。

アカイさんは、これ迄もたびたび『あいか通信』に登場しました。名前で呼び合うのが普通の講習生たちですが、アカイ=日本語の赤いと同じ発音である、アカイと聞けば日本人は赤い色を連想する、ということを聞いて以来、そのことがよほど印象深かったとみえて、以来彼女は皆に“アカイ”と呼ばれています。

2013年7月号で、彼女が地方議員になったということをご紹介しました。今回の講習にも彼女は参加したいと言っていましたが議会の関係でなかなか時間を取ることができず、最終日になってやっと現れました。  

教室に入ってきた彼女の声は実に明るくパワフルで、それに応える皆の声も、久しぶりに友達に会えた喜びでしょうか、うれしさ全開で教室じゅうが一瞬、弾けるようでした。

議員になった彼女には専属の女性アシスタントが付き、議会活動中はいつも一緒だそうです。側にいた弱視のエドナさんに彼女の様子は議員になる前と今とでは違っているか、と尋ねると、「それは、もうヘアスタイルから、洋服、靴までとってもスマートです。きっといつも美味しいものばかり食べてるから、太りましたね」とのこと。

早速、あん摩をやってもらいました。忙しくてあん摩をする機会も今までのようにないのではないか、と思っていたのですが思ったほど腕前は落ちていません。聞くと、彼女が属している議会の議員数は28名、時々同僚議員たちにあん摩をやっているのだとのこと。良いことです。彼らにこそ、あん摩の良さ、あん摩が視覚障害者のための仕事として、有効な自立手段であることを解ってほしいものです

毎回のことですが、講習最終日の夕食は、彼らの好きなコーラやファンタといった飲み物、ちょっとしたクッキーやポテトチップスを夕食に添えて、全員で夕食会をして終わることにしています。その日の夕食会には、なんとアカイさんが私のために、とタスカ(ケニア産のビール)を買ってきてくれました。通訳として来てくれていたジェンガ君と飲みました。格別の味でした。

先に彼女に聞いたところでは、彼女は女性枠からの議員、ということでしたが、今回改めて聞くと障害者枠でもあるとのこと。皆の期待を背負っているわけです。頑張ってほしいです。

 

**事務局からのお願い**************************

お手元に、書き損じ葉書、出さなかった葉書、不要な未使用葉書がありましたら、お送りいただければうれしいです。

切手に替えて、『あいか通信』の郵送に使わせていただきます。毎号、皆さまから寄せられたお葉書で、郵送しています。

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         ⑥   ボランティア活動 1 Stars for Jesus

                              山平健人

私の最初の活動場所となったStars for Jesus では、小学生以上の50名以上の孤児が一人の神父さんと共同生活をしていました。彼らの何らかの理由で両親と一緒に暮らせなくなった子供たちで、エイズにより両親を失ったという子供も少なくありませんでした。ケニアではエイズが大変深刻な問題であり、ケニア政府をはじめ、各国のNGOエイズ撲滅のために活動を展開しています。

さて、Stars for Jesusには、地元の方々の支援があり、食事の準備などは地元のお母さんたちが助けてくれました。もちろん、私も手伝いましたが、何せ人数が多く、食器の量が半端ではありません。食事の準備だけでも4、5人のお母さんたちが助けてくれていました。子供たちは日中は学校に行っていますので、その間に食事の準備をしたり洗い物をしたりするのですが、これが結構な重労働です。

食事は大体がギゼリという、豆とトウモロコシの煮物か、ウガリというトウモロコシの粉末をふやかして作ったパンのようなケニアの主食に、スクマという現地の葉野菜の煮物をつけて食べるという内容です。一人分は決して多くはありませんが、それでも大人数分を作りますので、結構な量になります。豆やトウモロコシは水分を含むと重くなり、かき混ぜるのも一苦労です。しかし、ウガリはもっと大変です。トウモロコシの粉も水と混ざるとかなりの粘り気を持ちますので、これを大量に混ぜるのは本当に肉体労働です。体力には自信のあった私も、さすがにこれには閉口してしまいました。

さて、そんなStars for Jesusの子供たちですが、小学生は学校に通っていますが、小学校を卒業した大きな子供たちもいます。彼らはStars for Jesusのために、近くの農場に働きに行ったり、自分たちで育てた鶏の卵を売りに行ったりと自分たちでも施設のために頑張っています。そんな彼らは大のサッカー好きで、カンフー好きです。

彼らは私を一目見るなり、「ホンコン! ホンコン!」と言って大盛り上がりでした。私が「僕は日本から来たから、ホンコン人じゃないよ。」と教えると、一本の香港映画(カンフー映画)を見せてくれました。思いっきりブルース・リーの「燃えよ!ドラゴン」のパクリのような映画でしたが、何とそこに出てくる悪役のカンフー使いが、私にそっくりだったのです。彼らはその人物の名前は分からないようで、その映画のおかげで私のニックネームは一瞬で「ホンコン」に決まり、子供たちからも慕ってもらえました。ただ、毎日のように、カンフーを見せてくれ、とせがまれるのには困りましたが…

 

次号  ⑦      ボランティア活動 2 農業調査 へつづく。お楽しみに。