NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信71号(2013年11月号)

             アフリカで体操指導!?!

                          理事長 金 治憲

 

韓国には『十年経つと、山も川も変る』という言葉があります。日本では、『十年一昔』といったところでしょうか。

2004年、ICAがケニアであん摩技術の講習を始めて今年でちょうど十年になりました。今回は11月19日から22日迄のフォローアップ講習、講師は私、受講生は、延べ12名でした、というのは、うち7名が仕事で全日程フル参加はできませんでした。他に、仕事が休めなくて参加できないので、テキストだけは送って欲しいと言ってきた人もあり、ケニアに居るうちに!と早速送りました。 

講習では、最初に使った、全身あん摩の教科書を、初心に戻って‘指さし確認’しながら総復習をしました。まずは、教科書を各章ごとに読みあわせ、その内容に沿って一人ずつ全員が、患者の私を施術する。終わるごとに、重点部分、直すべき部分を私が彼らにやって見せる、というパターンで進めました。

驚いたことに若い彼らの肩がひどく凝っているのです。きいてみると自覚症状も訴えます。ケニアには日本のラジオ体操に当たるようなものはないのかと尋ねたところ、学校で教わったことはあるが、学校を出てからはやったことはないとのこと。視覚障害者の場合、私自身をも含め総じて姿勢が悪いことは否定できませんが、それにしても、肩の状態が悪すぎます。そこで、私が我流で毎朝起きた時にやっている3分間体操を教えました。

翌朝から、まず体操をして体をほぐし講習を始めることにしました。狭い部屋の中で見様見真似のできない彼らに私が教えるのですから大変です。弱視の3人と森山さんとで、まさに手とり足とりひと騒ぎです。体操が終わると、体が暖まった、気持ちがいい、などと喜んでくれました。そしてその翌日には下肢の体操も教えて欲しいとせがまれました。私にとって下肢の運動は立っていること、歩くことです。したがって家の中でも電車でも極力立つだけのことで、人に教えるようなものではありません。ウ~~ン…と困って、スクワットを教えました。

人の健康に携わる人間は自分の健康管理もきちんとできることが大切なことなのだと話しました。体操は是非この後も続けて実行して欲しいものです。

さて、今回初めて、お互いの技術を批評し合うことをやりました。最初は、皆良いことしか言いません。翌日またペアを組んで、良いことだけでなく、きちんと直すべきだと気付いたことも言わないと、お互いに技術を高めるためにやっている意味が無い、と言うと空気が緊張するのがわかりました。1番バッターになったのはマーガレットとノーラのペアです。大変におしゃべりで大変に真面目なマーガレットがきちんとした批評をしましたが、最後に「隣のノーラにも聞こえてるぅ…」と首をすくめてつぶやいたのが皆に聴こえて大笑い。おかげで皆の緊張もほぐれたようで、留意点として、リズムが無い、もう少し力を込めて、線が外れているところがある、などの評が出されました。

受講生たちの施術を通して、私には、皆、それぞれの経験年数に応じてそれなりに上手くなっていることが感じられました。あん摩技術は、時間をかけ、経験を積んでこそのものだと実感しました。

 

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             デモンストレーションを中止

とても残念な報告です。今回は、最終日11月23日に予定していたナクマットジャンクションのショッピングモールでのデモンストレーションは、中止しました。今年9月に起こったナイロビでのテロ事件以来の外務省の海外安全情報に照らし、中止せざるを得ませんでした。

2012年2月に、初めて街に出て実施したデモンストレーションでは、ナイロビ在住の受講生6人がクライアントを増やしたという結果が出て以来、これは彼らにとっては重要なビジネスチャンスであり、最低でも年1回は何とか実施しなければ、と考えていたのです。ほんとうに残念でした。

テロ事件は、未だに様々な形で彼らの仕事に悪影響を及ぼしています。彼らのクライアントは外国人が多いのですが、テロ事件で多くの人が自国に帰っていきました。一例ですが、マサイマラのホテルで例年ハイシーズンだけ、一人の受講生は、あん摩を依頼されていたのですが、今年はクリスマスシーズンの依頼も無いというのです。ホテルに聞いてみると、テロ事件以来、客も減りキャンセルも相次いでいるとのことでした。仕事を失った彼女は、しばらくセラピスト仲間の家に滞在させてもらって、一緒にナイロビで仕事を探すつもりだそうです。

慣れない場所で大変でしょうが、頑張って欲しい。

今回の講習はいつもより短かったにもかかわらず、一人一人のインタヴューで、受講生たちの生活状況、仕事の状況などをきくことができ、またASAVIKが作成した事業提案書を皆で読むことも出来ました。 講習後、教員養成の件でKISEと2度の話合いを持ったこと、マチャコス校の状況など、お知らせしたいことは、まだまだありますが、次号で報告いたします

 

*** 年末ご寄付のお願い **********************

 さて、例年のように年末ご寄付をお願いする時期になりました。

この講習を終えてこの十年を振り返ると、受講生たちの技術も、個人差はもちろんありますが、一程のところまで伸び、10人近くの人がケニアで自立しています。これは皆さまからのご支援の賜物と深く感謝申し上げます。

近年の諸災害に加え、つい最近のフィリピン台風、また政治的にも不安定な情勢は世界に広がる一方で、緊急に支援を必要とする人々も急増しています。このような情況のなかでご支援のお願いをするのは心苦しいのですが、一人でも多くの方々からご支援いただければ幸いです。

誠に勝手ながら、振替用紙を同封させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

少々早いですが、これが今年最後の会報です。皆さま、お元気で良いお年をお迎えください。

 

*** お詫びと訂正 *************************

 前号でお知らせした新しいホームページの正しいURLの表記は

http//ica2001.hatenablog.com/ です。前号では、最後の / が、抜けていました。お詫びいたします。

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        ⑤ 活動場所を探して…(70号からのつづき)

                              山平 健人

活動できると思っていた農業調査機関がないということで、私がサファリに行っている間に他に活動できるところを探しておくということになったのですが、サファリから帰ってきて、話を聞くと、まだ見つかっていないとのこと。まぁ、4日程度で見つけるというのはなかなか難しいでしょう。それではということで、一緒に探しに行くことになりました。翌日待ち合わせ場所に時間より少し早めに行きました。

しかし、待てど暮らせど来るはずのNGOスタッフは一向に現れません。事前に連絡先を聞いていたので、近くにあった公衆電話から電話をかけようとしました。しかし、お金を入れても電話は全く反応しません。再度お金を入れましたが、やはりお金が吸い取られるだけで、ウンともスンとも言いません。

その様子を見ていたのでしょう、親切な現地の方が、『そんな電話は使えないよ。このビルの上に携帯電話を有料で貸してくれるところがあるから、それを使って電話をしなさい。』と教えてくれました。後でわかったことですが、ケニアの公衆電話は故障していることや、通信障害が起こっていることが多く、なかなか使えないことが多いようなのです。携帯電話が普及している背景には、そのようなことも一因になっているのかも知れません。

さて、携帯電話を借りてスタッフに連絡したところ、『ゴメンゴメン、すっかり忘れていたよ。今から準備して、あと20分で行くよ。』とのこと。信じて待っていましたが、結局その日は彼に出会うことは出来ませんでした。ここでもまた、ケニア時間を痛感させられました。

これ以上このNGOに任せていてはダメだということで、右も左もわからないまま、街に出ては日本人らしき人を見つけて、自分の状況を説明し、どこかボランティアが出来るところはないか、と探して回る日々が続きました。そんなある日、ホームステイしているNGOの事務所の裏庭で洗濯を干していたら、何と日本人らしき女性が通りかかりました。

『こんにちは~、日本の方ですか?』と向こうから声をかけてくれました。何と彼女は現地の男性と結婚し、近くに住んでいるとのことでした。早速私の状況を説明し、どこか伝手はないかと聞きました。すると、彼女の旦那さんのお姉さんが、小学校の校長先生をしているとのことで、そこに行けば何かわかるかもしれないと教えてくれました。早速次の日に小学校に行き、校長先生である彼女のお姉さんと話をしました。残念ながら、その場では良い話はなかったのですが、その後『Stars for Jesus』という孤児院を紹介され、そこで活動できることになりました。

 

 次号  ⑥ ボランティア活動 1 へつづく。お楽しみに。