NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信68号(2013年5月号)

 

                新年度を迎えて

                            理事長 金 治憲

新緑の季節、皆さまいかがお過ごしでしょうか。昨年度はケニア向けの事業を三つ実施しました。

一つ目は例年どおり、あん摩講習会ですが、特筆すべきことは、本格的な筆記試験を実施したことです。これは、教材配布事業で予め配布した、『Body Systems』を試験範囲として20問を出題したものです。

記述式とあって、問題作成から解答、採点に至るまで、英語訳、点訳となかなか手間のかかるものでしたが、結果的には、彼らなりにかなり読込んだようで、講師陣としては納得いくものでした。

基礎的なものとはいえ専門的内容の点字本など持ったことのない彼らにとっては、読込んだことで、この点字本の大切さを実感し、愛着も持ったようです。

二つ目は教材配布事業です。『あいか通信64号』でご報告しましたように、これは一部『公益信託東京日本橋ライオンズクラブ立川福祉基金』からの助成を受けで実施したものです。

配布したものは、まず受講生対象に講習時の教材として、人体骨格模型1体、あん摩にかかわる基本的な解剖・生理学の小冊子、『Body Systems』の3点です。『Body Systems』は、講習生以外にも、マチャコス視覚障害者技術訓練校へ20セット、職業訓練センター シクリへ10セット、SOKへ3セット贈りました。

 

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 点字の本を使っての授業風景  『Body systems』を使っての授業開始!

 

三つ目は、治療院開設支援事業です。

先に『あいか通信63号』でご報告しました後も、関係者と交渉を重ねていますが、残念ながら未だに良い結果を得られていません。引続き治療院開設の道を追求していくつもりです。

以上、三つの事業が実施できたことは、皆さまからの多大なご協力あってのことと、感謝申し上げます。

さて、今年度は、引き続き講習会と治療院開設支援事業を進めて参ります。講習会最終日には、また街へ出て、ショッピングモールであん摩デモンストレーションを行いたいと考えています。あん摩の認知度を高め、受講生たちのクライアントを一人でも増やすためです。

前回2012年2月のデモンストレーション後の反響を、参加した受講生たちに聞くと、ナイロビ在住の半数ちかくの人たちがクライアントを増やしていました。

もう一つ、ケニアにあん摩が根を下ろし育っていくために、不可欠なケニア人のあん摩指導者養成について具体策をたてたいと思っています。

お知らせしましたように、マチャコス視覚障害者技術訓練校のあん摩/指圧コースでは青年海外協力隊員が精力的な指導を続け、現在3代目に至っています。しかし最終的にはケニア人が指導できるようにならなければなりません。そうなって初めてあん摩技術の移転が成されたといえるからです。

 

今号は決算期に当たり、以下に昨年度の収支計算書を掲載しました。ご覧のように収入合計が300万円に近い額となりました。ご協力くださった皆様方のおかげです。

また、これは例年にない大口の寄付があったことと、公益信託東京日本橋ライオンズクラブ立川福祉基金から助成金の交付を受けることができたことにもよるものです。一方、三つの事業を実施するなか、結果的には90万円近い赤字が生じました。

しかし、これは私の当初の予想をはるかに下回る金額でした。改めて、皆さま方のご支援に心より感謝申し上げます。

巷では、アベノミクス効果が大きく宣伝され、景気のいい話ばかりが聞こえていましたが、時間が経つにつれ、負の部分も見え隠れし始めました。いずれにしても、現実には、私たち庶民の生活が直接潤う訳でもなく、むしろ輸入品の高騰や住宅ローンの利率引き上げなど、生活状況はますます 厳しくなりそうな気配です。

このような状況の下ではありますが、皆さま方のご協力あっての当協会の活動を、ご理解、ご支援いただきたく、例年のように皆さまにご寄付のお願いを申し上げます。既に今年度ご寄付いただいた方もいらっしゃいますが、勝手ながら事務処理上、全員の方に郵便振替用紙を同封させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、これから梅雨の季節を迎えます、皆さま、くれぐれも、お身体を大切にお過ごしください。

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平成24年度 特定非営利活動にかかわる事業会計 収支計算書

平成24年4月1日から平成25年3月31日まで 

科目

金額(単位:円)

Ⅰ 経常収入の部            

  1 会費・入会金収入

  2 事業費収入         

  3 寄付金収入         

    4 雑収入  

 

110.000

0

2.869.950

8.935

経常収入合計

2,988,885

Ⅱ 経常支出の部

  1 事業費

   2 管理費

 

2.979.451

871.032

経常支出合計

3,850,483

経常収支差額

-861,598

Ⅲその他資金収入の部

Ⅳその他資金支出の部

0

0

当期収支差額

-861,598

前期繰越収支差額

5,477,938

次期繰越収支差額

4,616,340

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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前号からのつづきです

 

③ ポレポレ、ハクナマタタ、ラフィキ

                               山平健人

『ケニアでボランティアをしていました』と言うと、大体の方が『青年海外協力隊ですか?』と尋ねられることが多いです。

しかし、私には何も教えられる技能や技術がありませんでしたので、日本のNGOを介して、ケニアのNGOに橋渡しをしてもらい、現地での活動のコーディネートをしてもらいました。

『今こちらには、イギリス人が5人、アメリカ人が2人、韓国人が1人いて、皆それぞれ様々な活動をしています。あなたは農業に興味があるということだから、こちらに来たら農業調査機関で働くことになっています。』

これは私がケニアに行く前に現地の受け入れNGOのスタッフから受け取ったメールです。正確に覚えているわけではありませんが、大体こんな感じの内容でした。

とてもグローバルで、しかも農業調査機関で働けるなんて、何て素敵なんでしょうか!? 一体どんなことが待ち受けているのか、ワクワクしながら関西国際空港を飛び立ちました。

ナイロビ空港では、事前の話の通り、現地のNGOのスタッフが車で迎えに来てくれていました。NGOの事務所はナイロビ市内のスタッフの自宅で、私はひとまずそこに居候させてもらうことになりました。

車中では早速スワヒリ語のレッスンが始まります。ラフィキ=友達、ポレポレ=ゆっくり、ハクナマタタ=大丈夫・問題ない、など。

特にケニアにはケニア時間というものが存在し、全てポレポレ、つまりゆっくりとしているのです。車もかなりの年代物で、あまりスピードが出ず、のんびり走っていました。彼ら曰く、『ポレポレ、ハクナマタタ、ラフィキ』なのです。

事務所に入ると、日本人らしき女性が2人いました。私はてっきりメールにあった韓国人かな?と思っていましたが、自己紹介をすると日本人であることが分かりました。

彼女たちから『あなたは何て言われてここに来たの?』と質問され、事前のメールのやり取りを説明していたところ、現地のNGOのスタッフから耳を疑うような発言が…『実は農業調査機関などないんだよ。どうする…?』いや、どうするも何も、言ってる意味が分からないんですが…? 

どうも彼らは私を送り出してくれた日本のNGOに正しい情報を伝えずに、適当なことを伝えて我々を受け入れていたようです。しかし、もう現地に来ている以上、帰るわけにもいきません。唖然としている我々に現地のスタッフが一言。『とりあえずサファリに行って来たら? ポレポレ、ハクナマタタ、ラフィキ。』これはもう、オレオレ詐欺ならぬ、ポレポレ詐欺です(笑)。

 

                   次号 ④サファリのすすめ へつづく