NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信65号(2012年11月号)

  

               講習会を終えて

                           理事長 金 治憲

師走の街は総選挙の宣伝カーが賑やかに走り回り、ノロウイルスやインフルエンザが猛威をふるい、落ち着かない日々が続いています。皆さま、お元気でいらっしゃいますか。

 

去る11月17日から27日まで、ケニアあん摩講習会を行ってきました。受講生の数が多くなったので、今回は初めての試みとして、A・B二つのグループに分け、Aグループは経験が浅いので実技を中心に、Bグループは、経験も積んできたので、講義を中心に行いました。詳細は窪田先生の報告をご覧ください。

 

今回うれしかったことは、4年来の懸案であった、Anma Shiati AcupunctureVisual Impaired Kenya(ケニア視覚障害者あん摩・指圧・はり協会 受講生たちが中心になって立ち上げたSociety)がSociety として登録されたことです。

このことについては、紙幅の都合上、次号でご報告いたします。

 

さて、今月は「年末ご寄付」をお願いする月でもあります。今回のあん摩講習会は、ICA独自の事業です。とにかく費用を節約すべく、航空券の一番安い時期を選びました。

ところが、ケニアでは物価上昇が続いており、受講生たちの宿泊・食事などの費用は、今年2月に比べ、2割も上がっていました。いくら節約をしても1回の講習会費用は100万円をゆうに超します。

毎年、大変心苦しいことをお願いしておりますが、協会の存在意義と果たすべき役割をご理解いただき、ご協力願えれば幸いです。講習会だけは、何があっても続けたいと考えております。皆さまお一人お一人からのご寄付が、ケニアの視覚障害者の自立に、直結しています。

今回も、技術がグンと伸びた受講生が発見でき、大変うれしく思いました。これも、皆さま方のご支援の賜物と感謝しております。

ありがとうございました。

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              按摩講習会報告

                            講師 窪田清和

Aグループ(基礎按摩を中心に)

2012年11月19日(月)~22日(木)

参加者: マナセ、マーシー、ドリーン、フェイス、ユニス

11月19日(月)

午前:椅子坐位における肩上部、頚部の按摩(母指揉捏の時、指だけを動かす習慣を直す。二指揉捏の筋肉をつかんだ感覚を学ぶ)

午後:側臥位での肩上部、背部の施術(マナセは指圧を中心にして施術する。母指揉捏は非常によくなったが、力が持続しない。実際の施術に当たっては、肩上部、背部までの施術で力尽きることになりそうである。)

コメント:練習を積み重ねること、施術の組み立てを考え直すこと、プライマリケアーの担当者であること、健康コンサルタントとしての役割があるので情報をたくさん得る必要があることを話した。

姿勢性腰痛と上腕二頭筋長頭腱炎とみられる受講生がいたので、モデルとして検査法・施術を行った。

 

11月20日(火)

午前:頚部、肩上部、背部上肢の按摩(上半身の按摩ができるように)

午後:同じことの繰り返し。大腸・肺の経絡を加えた。

コメント:マナセは合格。医学・健康の知識を得る手段を考えるように、と話した。

11月21日(水)

午前:下半身の按摩胆経・膀胱経・胃経を下肢按摩に加えること。

コメント:上半身と比べると、あまりにも施術が下手で順番も乱れている。日本按摩術式のテキストを持たせる必要がある。ユニスは合格。

午後:下半身の按摩の繰り返し。

コメント:腕が疲れてきて、集中力が欠けてくるのがわかる。

11月22日(木)ABグループ共に 試験と話し合い

午前:試験、話合い

午後:話合い、解答に対するコメント

コメント:成績は最高63点であった。全員が、とは言えないまでも、それなりに、よく勉強してきたと思う。テキストをこの講習会で初めてもらった人もいた。

残念なことは筆記用具を持ってこない人がいたこと。設問の中に過去の講習会の内容を覚えていれば解答できるものもあった。今後はできるだけ多くの点字資料を受講生達に提供することであろう。

 

Bグループ

(応用按摩)2012年11月22日(木)~25日(日)

参加者: アカイ、マーガレット、ノラ、ボンフェス、エバ、モセス、ビトレス、ジョスファット、エドナ

 

11月23日(金)

午前:関節角度計の使い方、簡易な関節角度の見方、膝関節・肩関節・頚部の関節角度測定の実際

午後:関節角度測定の実際の続き、三大栄養素と糖尿病・脳卒中(マンウェルニッケ肢位、分回し歩行)との関連(講義)

コメント:関節角度計をみるのは初めてであった。もっと徹底して練習をする必要がある。

11月24日(土)

午前:特異的・非特異的腰痛、急性・慢性腰痛、急性腰痛の取り扱い方と施術法、腰部・殿部・下肢(胆経・膀胱経・胃経)の按摩

午後:膝蓋腱反射・上腕二頭筋腱反射・アキレス腱反射の実際(できるようになるまで)、ストレスと栄養(講義)。

11月25日(日)

午前:筋力テストの実際(6段階評価、三角筋・大腿四頭筋)、頸肩背部の按摩

午後: 脊柱の観察(円背・平背・凹背・側弯症)、頚部の動かす方向による筋肉のストレッチの仕方、生体リズムについて(講義)。

コメント:筋力テストは初めて。「生体リズム」は彼らにとって初めて聞く言葉であった。

日曜日とあって、講習会場のYMCAではキリスト教関係の団体があちこちの部屋で礼拝をしており賑やかであった。

 

 

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角度計を使っての授業風景 

 

 

                英語力          

今回ほど英語力が大事なことはなかったと感じたケニア行きであった。

一つ目はカタールのドーハのシルバーラウンジで落ち合うことで、関西空港を出発した。ドーハに着いて空港職員は障害者の待つ部屋に連れて行ってくれた。パスポートは検査のために持っていかれてしまうし不安になった。

突然、車椅子に乗れといわれエレベーターで上の階に連れて行かれ、金さんたちと合うことができた。

その前に「すまない、間違って連れて行ってしまった」と職員は謝り車椅子に乗せたのであるが、僕は「thank you」と答えた。後で気が付いてこの時は「心配ないよ」とか「気にしないで」と言うべきであったと思う。恥ずかしい出来事であった。

二つ目は一度英語で講義をしようと試みたが、残念ながら10分ももたなかった。受講生達は一生懸命聞いてくれたが、やはり、理解できなかったようである。これは自分の日本語の貧弱さが英語につながったのだと思う。日常会話とは違うのである。

三つ目は英語の答案の採点である。記述式で解答させる問題であったので、ものすごく採点者の英語力がとわれるものである。

採点に時間はかかったけれど、受講生達はテキストをよく読んでいたようで、よい成績だったと思う。日本の盲学校では毎日授業の後での試験である。ケニアの受講生達は与えられたテキストを自学自習で試験に臨んだのである。

模範解答は英文で、色々な解答も予想して用意はしたものの、採点にあたっては、自分の一般英語や医学英語の力がなければできなかったであろうと思った。

僕には初めての経験で、現職時代には体験できなかったことである。受講生達はテキストをよく読み、成績もよかったので一安心である。英語力がとわれるケニアであった。