NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信59号(2011年11月号)

              

            ナイロビで治療院開設を目指す

                             理事長 金治憲

気温の差が激しい日々が続いています。皆さまお変わりございませんでしょうか。

今から40 年前の1971 年11 月23 日、ICA の前身である国際盲人クラブが産声をあげました。時間が経つのは本当に早いものですね。創立メンバーの一人揚兆来さんは80 を過ぎてもお元気で、たまに電話で近況報告など交わしています。夫婦ともにお元気で香港にお住まいです。

また今年はICA 創立10 周年にあたります。長い間、多くの方々より物心両面にわたりご協力いただきました。あらためて深くお礼申しあげます。

さて、皆さんご存じのように、ICA は今アフリカのケニアで事業を展開しております。帰国した盲留学生の要請によってナイロビで初めて鍼とあん摩のデモンストレーションを行ったのは1999 年でした。

その後2004 年からはJICA の委託を受けてケニア第一プロジェクトを開始、10 人のケニアの視覚障害者たちに日本の全身あん摩の技術を教えました。2006 年にはあん摩のデモンストレーションに来られた、当時の国立マチャコス視覚障害者技術訓練校のサヤ校長の尽力で、その学校にあん摩・指圧コースが新設され、日本から青年海外協力隊員が講師として派遣され精力的に指導しています。

以来、毎年卒業生が巣立ちICA の講習会にも参加しております。第一プロジェクト終了後も、ICA 独自の事業としてフォローアップ講習を続けました。

そのうちに講習生たちからあん摩の技術だけでなく、理論も教えて欲しいという要望があがりました。彼らの話によるとクライアントから健康上の質問を受けても答えることができないというのです。そこで基礎的な医学知識や症状に対応した応用あん摩を教えることを目的に、これもJICA の委託事業として2009年からケニア第二プロジェクトを開始し、現在に至り、2012 年3 月で終了します。

2005 年3 月、ケニア第一プロジェクトの終了式で、私はにわか勉強のスワヒリ語で二つの約束をしました。一つは、あん摩をケニアの視覚障害者たちの職業として根付かせること、もう一つは治療院の開設です。

去る8 月、駐ケニア日本国大使を訪問した際、この事業の今後に話が及んだ時、大使から「草の根無償資金を利用して治療院を建てたらどうでしょう?」とのありがたい提案がありました。

実は以前私も、何とかそのような資金を受けられないものかと調べたことがありますが、その当時の担当者に、草の根無償資金で作った施設では利用者から金銭を貰ってはいけない、と言われてあきらめた経緯を説明しました。すると大使は「施設を維持していくために必要な費用は貰ってもいいのですよ」と言われました。

この草の根無償資金を受けるには、現地人が日本大使館に申請することができる、という条件がありました。そこで、長年カウンターパートナーとして協力してくれているSOK のディレクター、ゲノさんと相談しました。

その結果、彼が申請しそれが受け容れられ、治療院開設が実現したら、この先彼が運営していく、ICA は技術的な部分をサポートしていくという協力体制を組むことになり、早速10 月にそのための保証書を外務省宛に提出しました。これが認められれば2013年3 月までには、新しい治療院が開設できると思います。

もう一つ、あん摩を視覚障害者の職業としてケニアに根付かせる、という件も時間はかかると思いますが、この10 月末のケニア訪問では、いくつかの機関を訪問し代表者と話しをしましたが、いずれも良い感触を得られたと思います。

                           (ご報告は次号で)

 

今月月はまた『年末ご寄付』をお願いする月です。東日本大震災、それに伴う津波、原発事故、大きな被害をもたらした台風、厳しさを増す一方の経済状況のさなか、あちこちへのご寄付の後、さらに、というご寄付のお願いは心苦しい限りですが、振込用紙を同封させていただきました。

皆さまご無理のない範囲で、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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           足立房夫氏がJICA 理事長受賞

当協会創立当時からの理事であり、ケニアプロジェクトのプロジェクトマネージャーである足立氏が、『第7回JICA 理事長賞』を受賞されました。

これは国際協力機構JICA が行う国際協力事業に貢献し、途上国の人材育成や社会発展に尽力した事業・個人・団体の功績を称えるもので、足立氏が、公益法人『協力隊を育てる会』会長として長年国際協力に尽力されてきたことに対して贈られたものです。

10 月4 日に授賞式が行われ、夜は日本青年館で祝う会が開かれました。祝う会には、全国から様々な分野で活躍している人々がお祝いに駆け付け、心のこもったスピーチが次々に披露されました。

足立氏の活動の広がりと深さをあらためて感じました。夫人と並んで立った足立氏は「今までに、こんなに褒めてもらったことはありません」と照れくさそうでした。

おめでとうございます!! これからもお二人、共にお元気でご活躍ください。

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            初めての空の旅 (その2)

                           アンジェリン・アカイ

ホテルに落着いて翌日からの予定を聞かされて私はおおいに興奮しました。翌日、準備を済ませてラジオ4 ロンドンでインタヴューを受け、SightsaversInternational(SSI) との会議に出席、終了後、ディナーに案内されました。

二日目、SSI を訪問しそこで働いている人々に紹介され、その後、The House ofCommons(英国議会下院)に行きました。イギリスの選ばれた人々が演説をするところです。私は大きな特典を与えられたのです。

その中のほんのいくつかをあげると、そこで私は国際開発省のような活動をし、様々な素晴らしい教育関係の社会活動を成し遂げたNGO のスポンサーに会い、さらに、副首相のニック・クレッグ氏-私はSSIに貰った彼の政策を読んでいた- や国際開発相のアンドリュー・ミッチェル氏というような人々に会うことができました。

三日目、再び下院に行き『ミレニアム開発目標』について討論しました。

ミレニアム開発目標:「2015 年までに世界の貧困を半減すること」など、開発途上国の貧困問題解決のために、国連や各国政府が共通の目標として掲げたもので、貧困撲滅、教育の普及、HIV/AIDS など疾病の防止、男女平等と女性の地位向上・乳幼児死亡率の削減・妊産婦の健康改善・持続可能な環境づくり・開発のためのグローバル・パートナーシップの推進、と8つの目標を掲げています。)

私は、そこで視覚障害者という特殊な状況に対応した教育について話しました。私自身について考えてみると、私は障害者、健常者にかかわらず全ての人に開放された学校に通いましたが、いつも障害者として必要な物が、無いという状況でした。一人歩きになくてはならない白杖も私にとっては高価なものだったし、ほとんどの視覚障害者にとっても買う余裕などありませんでした。

こうして、アフリカの視覚障害者の苦しい生活状況をについて話せるのはとても幸せなことでした。

四日目、私たちは街を案内され、お世話になった人たちにお別れの挨拶をして空港へ向かいました。

この5 日間のイギリス滞在で、私は他国で視覚障害者の問題がどのようにとらえられているのか、障害者の権利がどのように位置づけられているのかなどについて学ぶことができました。もう少し長く居られたらもっと多くを学べただろう、もっとたくさん楽しい体験ができただろうと思いました。

初めての空の旅は本当に楽しかったです。これが、最初で最後の旅にならないよう望みます。                           

                                (おわり)

 

アンジェリンは第一プロジェクトからの受講生です。彼女の住まいはキベラ。

キベラはナイロビ市内にあるスラムで、南アフリカのソウェトに次ぐ規模で人口は60万~120 万人、といわれています。つまり、分からないってこと?

ある時、キムさんが、アンジェリンに、キベラは全盲の女の子が一人で歩くには危険な所ではないのか、と尋ねたところ「危険なことなんかありません。強盗だって私の道案内をしてくれます」と笑うのです。小さい時から皆がそこで暮らしているから皆が知りあいで、ちょっと余裕ができるとお互いにご馳走したり、されたりという間柄なのだとのこと。

しかも、強盗が道案内をしてくれるなんて!「エーーッ」思わず笑ってしまいました。怖いものなしですね。

 

*訂正してお詫びいたします

前号の『あいか通信58 号』で、アンケート結果を掲載しましたが、失明原因の項目で、「天然痘」とあるのは「麻疹」の間違いです。大変な間違いで失礼しました。

今年もこれで最後の通信になりました。少し早いですが、皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。

新年もよろしくおねがいいたします。

                                (事務局)