NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信56号(2011年5月号)

              

             創立10周年をむかえて

                             理事長 金治憲

風薫る5月、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

被災地のことを考えると未だに言葉が出てきません。肉親や知人を亡くされた方々の心が一日も早く癒され、現地の復興が実現していくのを祈るばかりです。

少々不謹慎とは思いながらゴールデンウィークの一日を埼玉県の小川町にある仙元山(標高299m)で、ハイキングを楽しんできました。中腹に見晴らしの丘公園があり、長い滑り台など、子供の遊具も多く、大勢の親子づれで賑わっていました。そこで少し休憩をとり頂上を目指しました。

ここからは今までと違い、道は舗装されておらず、人もほとんどいませんでした。さっきまでの賑やかさとはうって変わって、聞こえてくるのは、ウグイスをはじめとする小鳥たちのうるさいほどの囀り。あたりの爽やかな木の香りに鋭気が漲って来るようで思わず何度も深呼吸を繰り返しました。この爽快感を皆さんにもおすそ分けしたい’気持ちでいっぱいでした。

さて、今年はあいか創立10周年に当たります。その間、多くの方々から様々なかたちでご支援いただきました。心からお礼申し上げます。

皆さんもご承知のように、2004年からはケニア一国に集中して支援活動を続けて参りました。あん摩の‘あ’の字も無い彼の地であん摩を教え、今やそのあん摩でもって自立する人も数は少ないながら確実に増えていますし、受講生たちの技術も其れなりにあがってきています。

しかしここで満足するわけにはいきません。ケニア政府があん摩師を認知し、あん摩が視覚障害者の職業としてケニアに根を下ろすところまで到達するのが私どもの目標です。

現状は、あいかの働きかけにより2006年、国立マチャコス視覚障害者技術訓校にあん摩・指圧コースが新設されたものの、講師は日本から派遣される青年海外協力隊員に頼り、適切な人材が見つからなかった年はコースを休講せざるを得ないといった状況もありました。

その後はまた青年海外協力隊員が派遣され、卒業生も送り出されていますが、このような不安定な状況は出来るだけ早く解決されるべきでしょう。そのためにはケニア人の指導者が育つことが一つ大きな条件だと思っています。

私どもの目標を達成するのに一番の近道は、このマチャコス校を強化することだと思います。そこで、今年度、第一番目の事業として、どのようにすればもっと効果的にマチャコス校を強化できるかケニア政府の教育省はじめ関係機関と話し合いを進めて参ります。

二番目の事業であるケニア第二プロジェクトは3年計画の最終年度となりました。昨年同様、私どもの受講生たちと、マチャコス校の修了生を対象に講習会とあん摩デモンスレーションを行います。

三番目は昨年から治療院開設支援事業の一環として始めましたホテルでのあん摩デモンストレーションを今年度も続けて参りたいと思っております。

 

今号の最後に昨年度の収支計算書を掲載しております。経済状況の大変厳しいなかにもかかわらず、皆さまのご協力のおかげで赤字は免れることができました。

今年は不況に加え、とてつもなく悲惨な東日本大震災が起きました。皆さまもあちこちへ義援金や物資を送られたことでしょう。こういう状況の時にご寄付をお願いするのは誠に心苦しいのですが、皆さまのご支援によって運営されている当協会としては、改めてお願いせざるを得ません。

既にご寄付を寄せてくださった方もいらっしゃいますが、かってながら事務処理上、全員の方に振替用紙を同封させていただきます。どうぞよろしくお願いたします。

最後になりましたが、季節の変わり目、皆さまのご健康をお祈りしております。

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           初めての空の旅 (その1)

                          アンジェリン・アカイ

私の名前は、アンジェリン・アカイ、視覚障害のある27歳の女性です。今までにただの一度も国の外に出たことはありません。もちろん隣の国でさえも行ったことはありません。

2010年9月20日私は、Sightsavers  International (発展途上国で眼病の予防や治療、視覚障害者の教育支援などの活動をしているイギリスに拠点を持つ国際的慈善団体) から電話を受けました。

内容は、とても重要なことを伝えたいので、すぐにSightsavers  Internationalの事務所に来るようにということでした。事務所に行くと、アフリカの障害児教育を支援している団体がアフリカの代表として選んだ3人の中の一人に私が選ばれ、イギリスに行くことになったということを知らされました。私は大変驚くと同時にうれしさに小躍りしました。

それにしても、大勢の視覚障害者がいるというのに、どうして私が行くことになったのだろう、私には国外の旅に必要なパスポートも持っていないのに?! いずれにしろ、何といってもうれしかったのは初めて、空の旅ができるということでした。そのニュースを受取ってから私は急いで、Sightsavers  International のメンバーの助けを借りて旅に必要な書類を調えました。

 

ついに、私がずっと憧れていた飛行機に乗る時がやってきました。私たちはエミレーツ航空でイギリスに向かいました。なにしろ飛行機は初めてだったので離陸の時にはびっくりしたけれども、暫くすると体が慣れてきて自分が飛行機に乗っていることさえ忘れるほどでした。

飛行機が高度40000フィートに達したと知った時、私の頭の中では恐るべきイマジネーションが交錯しました。もしこの飛行機が墜落したら私の遺体は地面に届かないだろう・・・。

乗務員が飛行機で問題が発生した場合の対処法を説明してくれたことを思い出し“怖い”と言うと、彼は親切に気づかってくれて私を落ち着かせてくれました。私はドバイに到着し、そこでヒースロー行きに乗り換えました。

着陸の時には、また興奮しました。私の耳は突然聴こえなくなったのです。隣の人が「欠伸をしたら、耳は元に戻るよ」と教えてくれました。

とうとうロンドンに到着。空港にはSightsavers  International の人が2人、私たちを待っていてくれました。私たちはBirch Hotel に案内され、その夜はそこに泊ることになりました。

                             (次号につづく)

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                事務局から

前号でお知らせしました『ケニア講習受講生たちとの交流とケニアの自然体感ツァー』は、残念ですが、希望者が少ないので中止することにしました。ご希望された方々には大変申し訳ありません。

『あいか通信』次号は、ケニア講習会のため8月中旬ごろにお届けする予定です。

 

平成22年度 特定非営利活動に係わる事業収支計算

平成22年4月1日から平成23年3月31日まで

                     (単位:円)

Ⅰ 経常収入の部

 

 1 会費収入

 2 寄付金収入

 3 事業費収入 (JICAより受託)

 4 雑収入

 110,000

 1,206,400

 2,470,692

 7,553

 経常収入合計

 3,794,645

Ⅱ 経常支出の部

 

 1 事業費

 2 管理費

 2、867、998

 916,501

 経常支出合計

 3,784,499

 経常収支差額

 10,146

 当期収支差額

 10,146

 前期繰越収支差額

 5,619,934

  当期収支差額

 5,630,080