NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信50号(2010年5月号)

            

           海外治療院開設支援にむけて

                                金治憲

新緑の季節、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。おかげさまで順調に新年度のスタートを切ることができました。これもひとえに皆さまのご支援の賜物と厚く感謝申し上げます。

昨年度は、ケニアで二つの事業をスタートさせました。

一つ目はケニア第二プロジェクトです。これは2004 年に実施したケニア第一プロジェクトの講習終了生たちから、「あん摩をしていて、クライアントからいろいろと質問を受けますが、答えることができません。今度はもっと高度なあん摩技術とあん摩にかかわる医学的な基礎知識も講義してほしい」との要望が寄せられて実施することになったものです。

幸いにもこの事業はJICA の委託を受けることができました。実施に当たっては、日本の盲学校の先生たちにご協力いただき、独自の教材を作成し、人体模型の一部も使いながら、骨や筋、神経などについて、また、治療院開設や経営方法などについても講義しています。

彼らは、初めて聞く骨や筋肉の名称に戸惑ったり、通訳の方も聞きなれない専門用語にアシスタントがその場で辞書を引きなおしたり、細かい説明が必要になると、突然英語からスワヒリ語に変わったり、思わぬハプニングもありました。

実技は、短時間に座位で対応できるあん摩も指導しました。講習は協力してくださっている先生方の学校の夏休みと冬休みを利用して3年間で合計6回行います。

昨年度、既に2回実施し、前号の『あいか通信』でご報告しましたように、講習の成果をもって、あん摩を現地の人々にアピールすべく開催したデモンストレーションも、在ケニア大使館、JICA ケニア事務所、現地カウンターパートナーのSOK、現地在住日本人の方々の協力を得て成功裡に終えることができました。

二つ目は海外治療院開設支援事業です。これについては、ナイロビに開設することを前提に、講習生たちとカウンターパートナーであるSOK と何度も協議を重ねてきておりますが、残念ながら未だこれといった結論に至っておりません。

さて、今年度もこれら二つの事業が中心になります。

ケニア第二プロジェクトは7月と来年2月に実施の予定です。今年度もっとも力を入れるべき事業は海外治療院開設支援事業です。

現在ナイロビ在住の講習生たちは、収入の差こそあれ、あん摩で生計をたてることができています。大変嬉しいことですが、中には貯金ができている人もいます。

ところが、ナイロビ以外に在住の講習生たちは、ほとんどあん摩で収入を得ることができていません。ナイロビ以外の地方にあん摩を広げていくことも次の段階の課題と考えています。

そこで今年度は、治療院を必ずしもナイロビに限定せず、まずは、どういう形にしても、地方在住の講習生たちの働く場を確保することを優先して考えたいと思います。例えば、インド洋の有名な観光地であるモンバサなどを視野に入れて働く場の開拓を積極的に進めていきたいと思っています。

 

会報の最後に、昨年度の収支計算書を掲載しております。次期繰越金が例年になく多額となっておりますが、これは、故荒木久子さんのお母様からの多額のご寄付があったからです。

先日の総会で荒木さんの寄付金の使途について検討しましたが、とりあえずは、一般会計に入れず、ケニアでの事業のための別会計として、取り扱うことになりました。したがって次期繰越金は例年とほぼ同じです。

一方、JICA からの事業費は、昨年度の半額以下となり、不足分は協会が負担しなければなりません。今年度、重点的に取り上げた課題、治療院開設の場所をナイロビに限定せずいろんな場所を調査するためには費用もかさむことになるでしょう。

私達の生活も相変わらず厳しい経済状況にありますが、『自立できる視覚障害者を1 人でも多く育てる』ためにご支援いただきたく、よろしくご寄付をお願いいたします。

既に今年度のご寄付をお送りくださった方もいらっしゃいますが、勝手ながら事務処理上、全員の方に郵便振替用紙を同封させていただきます。なお、次号の会報は講習会の関係で8 月中旬のお届けとなります。

気候不順の折から、皆さまお身体に気をつけてお過ごしください。

 

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                ケニアから

 

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    講習会風景(ナイロビYMCASouth C.で実施:石山琢子さん撮影)

 

日本大使館文化センターでの『あん摩デモンストレーション』宣伝用ポスターに使いました。

 

              ビトリスからの手紙

私はBeatris Erupe です。ナイロビであん摩をしています。この機会に紙面を借りて、日本からやって来て、あん摩を教えてくださるキム先生とそのチームにお礼申し上げます。

キム先生たちが、あん摩を教えに来る以前の私の生活はとても厳しく、周囲の人々に頼って暮らしていました。しかし、あん摩を学んだことが私の人生を変えました。例えば、私は自分のためにお金でやれることは何でもできます。自分の住まいの家賃を払うこと、食べ物を買うこと等々。

あん摩はお金を得る手段として私を助けてくれるだけでなく、それ以外のことでも私を支えてくれます。例えばあん摩セラピストになる以前、私にとって一人で出歩くことは大変困難なことでした。

でも、ナイロビに来てあん摩セラピストになってからは、杖の使い方を教わり、私は一人で、あちこち出かけられるようになりました。そのことは私をとても幸せにしてくれました。さらにあん摩の技術をレベルアップして人生を実り豊かなものにしたいです。

資金が出来たら、私は自分のクリニックを開きたいと考えています。それで得たお金で、自分の家を買おうとも考えています。

そしてもう一つ考えているのは、他の人たちの力になりたいということです。講師になって視覚障害者にあん摩を教え、彼らに、努力すれば自分の生活を成功に導くことができるということを知らせたいのです。

(ビトリスは第一プロジェクトからの講習生として今回も講習に参加しました)

 

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平成2 1 年度 特定非営利活動に係わる事業収支計算書

平成21 年4 月1 日から平成22 年3 月31 日まで

 

(単位:円)

Ⅰ経常収入の部

 

1 会費収入

2 寄付金収入

3 事業費収入 (JICA

より受託)

4 雑収入

110,000

4,329,623

5,058,060

 

3,135

経常収入合計

9,500,818

Ⅱ 経常支出の部

 

1 事業費

2 管理費

5,081,288

860,641

経常支出合計

5,941,929

経常収支差額

3,558,889