NPO法人 視覚障がい者国際協力協会(ICA)

視覚障がい者の自立を目指して

あいか通信44号(2009年5月号)

 

            ケニアで二つの事業スタート

                       理事長 金治憲

風薫る5月というのに新型インフルエンザのおかげで、爽やかな風を胸いっぱいにとう気分には、いまひとつなれない月でした。皆様いかがお過ごしでしょうか。おかげさまでまた新年度を迎えることができました。

まず、うれしいニュースからお伝えします。JICAと3年越しで交渉を続けていた‘ケニア第二プロジェクト’が採択され、委託を受けて実施できることになりました。

今年度はケニアで二つの事業をスタートさせます。‘ケニア第二プロジェクト’と‘治療院開設支援事業’です。ケニア第一・第二プロジェクト’については、プロジェクトマネージャーの足立さんが後述していますので、ここでは‘治療院開設支援事業’についてお話します。

ご存じのように第一プロジェクトの講習修了生達は2005年4月から週3日間SOKのキッチンを借りてあん摩施術を続けてきました。しかし、キッチンをカーテンで区切っただけのスペースなので場所も狭く、しかもその場所を使えるのが週3日という制限もあるなか、営業成績は思うように上がらないのが実情です。そこで今年度から、まずは、部屋を準備し、毎日施術できるようにして、治療室といえる程度の環境を整えたいと考えています。

運営面は現在もお世話になっているSOKに当面は引続きお願いしたいと思っています。

『あいか通信』今号の最後に収支計算書を掲載しましたが、ご覧のように、昨年度は若干の黒字でした。これは『盲留学生』を読まれた方から 「…元盲留学生の活躍に感動した、退職金の中からいくらか送りたい」 とのことで多額の寄付が送られたからです。

ケニア第二プロジェクト’がJICAの委託を受けるにしても、費用の4分の一は私どもの協会が調達しなければなりません。また治療院開設支援事業は、家賃など相当の予算が必要になります。

巷では100年に一度の経済危機と言われており、実際私たちの生活も大変厳しいものです。このような時にご寄付をお願いするのは大変心苦しいのですが、一人でも多くの方々からご支援いただければ幸いに存じます。

いくら世の中が厳しい状況であっても気持ちだけは、明るく持ち協会の目標である「自立できる視覚障害者を一人でも多く育てる」に向かって努力いたします。どうか協会の実情をご理解のうえご協力いただけますよう重ねてお願いいたします。

 

なお、すでに今年度のご寄付をお送りくださった方もいらっしゃいますが、事務処理上、勝手ながら全員の方に郵便振替用紙を同封させていただきます。

また、第二プロジェクトは、今年から3年間、8月と2月にナイロビで講習会を実施します。ケニアに関心のある方は講習生たちに会いにいらっしゃいませんか? ぜひ、ご一緒しましょう。

皆様のご健康をお祈りします。 

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              第二プロジェクト開始

                理事・プロジェクトマネージャー 足立 房夫

当協会は、ケニアから日本の盲学校に留学し、あん摩・はり・灸の技術を修得して帰国した元留学生からの要請に応えて、1999年、2002年と2度にわたり、はり・あん摩技術のデモンストレーションをケニアで実施しました。彼らが日本で学んだあん摩技術を生活手段として自立していけるようになるためには、まず、ケニア社会にあん摩を広く知ってもらうことが必要だったからです。

 

この経験から、海外の視覚障害者が‘あん摩技術’を生活手段としていくためには、現地で現地の技術者を育てることが、現地の視覚障害者にとっても、私たち支援者にとってもより効率の高い支援になると確信しました。

ちょうどこの年2002年、国際協力機構(JICA, ジャイカ)は『草の根技術協力事業(草の根協力支援型)』プログラムを開始されました。

2004年、私たちICAは第一回プロジェクトを実施しました。これはJICAの『草の根技術協力事業(草の根協力支援型)』にICAの事業提案をもって応募した結果、採択され、JICAの委託を受けて実現したものです。

ケニア全土から選ばれた10名(高等学校卒業を条件に公募した結果33名の応募者あり)を対象に『ケニア国視覚障害者に対するあん摩技術講習会』として実施いたしました。

現地での講習時間は、延べ9か月、約200時間、 講習内容としては、少しでも早い経済的自立に直結させるために‘あん摩技術’の第一段階として‘全身あん摩技術’を指導しました。

ちなみに、現在、彼らのうち5名(ナイロビ在住者)はあん摩師として自立しています。そして施術の経験を積むなかで、自分達の専門的な技術や医学的知識の不足を自覚し、幅広い知識に裏付けされた質の高い対応ができるようにと、さらに進んだ段階の学習への強い要望がICAに寄せられるまでに成長しています。うれしいことです。

そして、今年度、いよいよ第二プロジェクトがスタートします。JICAとしては原則として(前プロジェクトと)同地域・同テーマ・同対象者の事業提案は受付けないということでしたが、継続して、さらに進んだ段階の講習の意義と必要性が認められ、事業提案書提出から2年越しに今回もJICAの委託を受けることができました。

今回の第二プロジェクトは3年間にわたり、1年に2回の講習、計6回の講習を予定しています。おもな内容は、‘全身あん摩技術’から、さらに進んだ段階として、疾病症例に適切に対応するための‘応用あん摩技術’の技術講習とその裏付けとなる基礎的な医学知識や、あん摩に係る理論の講習、治療所の開設・運営にかかわること、サービス業に携わる者の心得などです。

より高い技術は、マーケットでの競争力でもあり、今後のあん摩マーケットを拡大、安定させていくためには是非とも必要なことです。  

さらに、ケニアでの講習終了後、講習修了生の中からあん摩技術の指導者としての適性とその意思のある人を、1・2名日本へ短期留学生として受け入れることも計画しています。留学生は日本の盲学校で寮生活を体験しながら、授業計画の作成や授業の進め方、カリキュラムの組み方、指導の手法などを学び、ケニアであん摩技術指導者として後進の指導に当たって欲しいということです。

2006年には、ICAの要請に応じて国立マチャコス視覚障害者技術訓練校が「あん摩技術コース」を新設したのですが、先の会報でもおわかりのように、指導者はJICA青年海外協力隊員の派遣に頼っています。

残念なことに、任期を終えて帰国された五味さんの後任が見つからず、現在のところ講師不在という状況です。一日でも早く、一人でも多く、ケニア人のあん摩技術指導者を育て、彼等自身が後進の指導に当たれるようになることが差し迫った課題です。

最終的には、一人でも多くの視覚障害者があん摩師として経済的自立を果たし安定した生活を維持していけるようになることが目標です。そのためには、ケニア社会であん摩が視覚障害者の職業の一つとして普及、定着していくことです。

こう考えていくと私たちがどこまで関われるのかということも含めて課題は山積みですが、一定の成果は見えています。私たちにできることもまだまだあります。第二プロジェクトの成功にむけて皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

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平成20年度 特定非営利活動に係わる事業収支計算書

平成20年4月1日から平成21年3月31日まで      

Ⅰ  経常収入の部

 

1 会費収入

2 寄付金収入

3 雑収入

120,000

1,851,780

 50,831

経常収入合計

2,022,611

Ⅱ 経常支出の部

 

  1 事業費

  2 管理費

635,747

907,108

経常支出合計

1,542,855

経常収支差額

479,756

当期収支差額

前期繰越収支差額

次期繰越収支差額

479,756

1,581,289

2,061,045